その便秘こそ大腸ガンの黄信号 大腸ガンは、頻度が非常に高く、自覚症状が出にくいですが、大腸内視鏡で見つかりやすい、ガンの進行が遅いので遅く見つけてもなんとか助かる、という特徴があります。
2章 大腸ガンではぜったい死なない
(1)大腸ガンを100%予防する
だから、大腸内視鏡検査がその予防に有効なのはおわかり頂けるでしょう。
さらに大腸内視鏡は、治療の面でも極めて高いポテンシャルを発揮します。
大腸内視鏡は、小さなポリープにできた早期ガンでも、開腹手術をしないで検査のその場で切除し、治療することができるのです。これを、内視鏡的ポリープ切除術(ポリペクトミー)といいます。
もし、ガンになっていなくてもポリープは放置しておくとガン化する可能性が高いので、可能な限り早期に切除したほうがいいのです。大腸のポリープは連続的に大腸ガンに移行していくので、たとえ良性でも切除するのが常識です。
インターネットの医療相談で最近あった話です。「以前バリウムの検査を受けて、大腸に小指の先くらいの大きさのポリープがあるといわれたが、多分大丈夫でしょうといわれた。最近、腸の調子がよくがないが、ポリープは大丈夫でしょうか?」小指の先ほどといえばしっかりしたポリープです。この医者は何のために検査をしたのでしょうか?進行ガンでないと対応しないのでしょうか?多分大丈夫と言うことは、もし万一とは考えなかったのでしょうか?この方が、ガンでないことを祈るばかりです。
内視鏡検査の途中でポリープを発見すると内視鏡の中を通っているの細い管の中に、ワイヤを通します。それをポリープの根っこに投げ縄のようにかけて、根っこから切り取るのです。このときにワイヤに電気を通すと電気メスの原理できれいに切り取られます。切り取ったポリープは回収して、顕微鏡の詳しい検査に出します。そして細胞の検査をする病理医にガンがないかどうかチェックしてもらうのです。
切除のときも痛みはなく、いつ切ったかわからないうちに治療は終わります。その日は家に帰って、家族とふつうに食事ができます。こんなに簡単に日帰りでガンの手術ができるのは、内視鏡によるポリープ切除術だけでしょう。
*ポリペクトミー写真(および解説イラスト)
大腸ガンは死亡者は多い、だけど助かりやすい。一見矛盾するこの言葉はなにを意味していいるのでしょうか?
ガンの統計は、死亡者の統計であって、患者の統計ではありません。大腸ガンは助かりやすいガンの代表ですが、それでも死亡者が多いということは、大腸ガン患者は圧倒的に多いということです。
ポリープがガンになりますので、ポリープはもっと多いことになります。検査をすると10人中3人にポリープがあり、さらにポリープがある人の10人に1人がガンがあります。また、ポリープが10個につきだいたい1個がガンです。ポリープが10個以上ある人は、ガンの確率が高く、100個以上ある人は必発です。
特に、大腸早期ガンのうちの粘膜内ガン(上皮内ガンともいいますが)は、あまりに頻度が高いので、一部のガン保険からは除外されているくらいです。
「ポリペクトミー」、この言葉を私はいったい何回言ったでしょう?今まで10000件の検査をしてきて、ポリープを取った人はおよそ3割の3000人、1人で複数個取る人もいるので、5000個以上は取った計算になります。
ポリープを取る時点では、ガンかどうかははっきりとはわかりません。進行ガンならばだいたい見たらわかりますが、早期ガンは、ポリープの一部がガン化しているだけなので見ただけでは区別が付かないことがあります。だいたい大きさで予想は付きます。直径が1cm以下ならまず大丈夫でしょう。直径が2cmを越えるとガンが増えてきます。
ポリープを発見したとき、私は小さくても基本的に切除するようにしています。ポリープは、時間が経つとだんだん大きくなり、段階的にガンに近づいていきます。最終的には、ガンになってしまう可能性があります。どうせ取るなら、なるべく小さいうちに取る方が安全です。
たまに小さいのにガンであるポリープもあります。こういうのは見ただけではわからないのでやはり、小さいのも切除した方が安全です。
「大きいのは取ったが小さいのは大丈夫だから次回取りましょう」という医者もしますが、その間に大きくなってガン化しないか、心配で生きた心地がしません。精神衛生上も全部取っておいた方が安心です。
ポリープを取るときは、熱をかけて切り取るので、周りの細胞も死滅します。ポリープの細胞を一つでも残さないためです。このため、正しく取られたポリープのあとから再発することはまずありません。ただ、ポリープのできる人は体質がありますので、また別な場所にできることがあります。
定期的な検査が必要になるわけです。
ポリペクトミー(内視鏡的ポリープ切除術)は、おなかを切らない手術です。大腸粘膜には知覚神経がないので、切除時に痛みはありません。施設によって違いが利ますが、入院しないで検査と同時にポリープを発見次第切除し、そのまま帰宅できます。いわゆる日帰り手術の一つです。費用は保険が適応されて費用は2万円ほどですが、これだけで早期ガンでも治るのですから、患者さんのメリットは大きい手術だと思います。
切除したポリープは顕微鏡でガン細胞がないか調べますが、もしあっても完全に取り切れているときには、この治療だけで終了です。ほぼ100%再発の心配はありません。