その便秘こそ大腸ガンの黄信号
 2章 大腸ガンではぜったい死なない
  (2)完全無痛の大腸内視鏡

内視鏡専門医を育てることは国是

私の父は、もう2年はやく、大腸ガン検診を国がしていたらあんなに危険な目に遭わなくて済んだかもしれません。人が病気になるときは大きな玉が坂を転がるように、ゆっくりと加速していきます。簡単な検査一つで、まだ動き始めの頃に気がつけば何でもないことなのに、ある程度勢いがつくともうどんな名医でも元に戻すことは難しくなる。
厚生省が、大腸ガン検診の導入がおくれたのは、50万人と予想された便潜血陽性者の受け入れ施設が用意できないという理由からでした。
国民に大腸ガンが増えてきているが、2時検査受け入れ施設が少ないから、1時検査を実施しないという考え方も本末転倒でした。
その後も不足状態が続いているのに、平成11年4月には大腸内視鏡手術の大幅な点数切り下げ(30%以上)を行いました。
大腸内視鏡は胃カメラのように簡単にはいきません。きちんとした指導を受けていない医師が大腸内視鏡をすると、患者さんの苦痛が大きいばかりか、穿孔事故の危険が高まります。
長期的な視野で専門家を育てていかなければいけないのに、保険点数を大きく変更されては、専門家を育てにくくなります。
三五歳以上の人は大腸内視鏡検査を二年に一度受ける。
もしこれを実行したら、日本から大腸ガンで亡くなる人は皆無になるのではないか、と言えるほど内視鏡検査の効果は高いものです。
しかしながら、内視鏡検査医の絶対数が足りないのです。実際には、どう考えても三五歳以上の人が二年に一回大腸内視鏡検査を受けるという理想を達成するのは無理ということになります。
では、現実的な妥協点として、40歳以上は五年に一度受診して、検査を受けない年は便潜血検査を受けてもらうというのが、医師として最大限の譲歩案です。
それでも医師は全然足りない。
内視鏡の専門家がいる病院では、胃カメラと大腸検査の比率は2対1がふつうです。胃ガンと大腸ガンの死亡者がほぼ並んでいて、胃カメラは毎年の検査が理想、大腸ガンは2年に一度の検査が理想ですから、この数は理にかなっています。内視鏡の専門家がいないと大腸検査の比率が低くなり、そういう病院はそれだけ大腸ガンを見落とす可能性が高くなります。
もちろん、内視鏡検査の専門家をどんどん養成していくというのも、われわれの大切な役目だと思っていますし、一人でも多くの人が検診を受けてくれるように啓蒙・宣伝をするという努力も続けていかなければなりません。

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